胆管は肝臓で生成された胆汁を胆嚢そして十二指腸へ運ぶ管であり、肝臓の中から木の枝が幹に向かって集まるように、徐々に合流して太くなっていき、肝臓の外で左右の胆管が合流して1本となり肝外胆管となる。

この肝外胆管のひとつは胆嚢管となって胆嚢へ繋がり、ひとつは膵管と繋がり総胆管となって十二指腸Vater乳頭部へ繋がり、肝臓で生成された胆汁は一旦胆嚢内に貯留し、脂肪の摂取により十二指腸内に分泌される。

胆管癌は胆管内膜の粘膜から発生する悪性腫瘍で、その発生した胆管の部位により、肝内胆管癌と肝外胆管癌に分けられ、治療が難しく、治療後の経過も悪い癌の一つである。

胆管癌の発育は、浸潤性発育、胆管内発育、腫瘤形成性発育に分かれ、そのうち腫瘤形成性発育形式が最も多く認められるが。胆管内乳頭状腫瘍と呼ばれる特徴的な形態を示す腫瘍が観察されることがあり、胆管内乳頭状腫瘍が臨床的にどのような意味を持つかについては不明の点が多く、さらに胆管内乳頭状腫瘍には病理学的な形態の違いから1型および2型に分類されるが、それらの性質の違いは明らかではなかった。

今回、胆管内乳頭状腫瘍を臨床病理学的、分子病理学的に調べ、1型と2型では遺伝子の働きやタンパク質の量などの性質が異なり、2型では治療後の経過が悪いことを明らかになり、2種類の胆管内乳頭状腫瘍を早期に判別することで、胆管がんの早期発見や有効な診療法開発につながることが期待される。

本研究成果はJournal of Pathology誌にオンライン公開された。