胃癌は早期で発見された場合、5 年生存率95%以上と非常に予後のよい癌である。

早期発見には、現状内視鏡検査が主となるが、侵襲があり高コストを伴う検査であるため、低コストで非侵襲性検査であるリキッドバイオプシー検査(血漿や血清中に浮遊している癌細胞や腫瘍特異的な遺伝子変化を検出する方法)があるが、胃癌診断のリキッドバイオプシー検査は実用化されていない。

従来より、癌の発生には遺伝子異常の一つとして DNA(遺伝子)メチル化が明らかになっており、胃癌によるメチル化遺伝子として RUNX3 がよく知られているが、既存のアッセイ法によるリキッドバイオプシー検査では、早期胃癌を含むステージ 1 の検査感度は 0~19.0%と不良であった。

今回、RUNX3 高感度メチル化解析法を開発し、微量検体(血清 0.4mL)で、かつ高感度な定量化に成功したことが報告された。

保存血清から DNA を抽出し、3 種類のメチル化感受性制限酵素で処理すると、メチル化 DNA は残存するため、デジタル PCR を用いることで、従来技術の 100 倍の感度で定量化が可能となる。

RUNX3 メチル化レベルの中央値は健常コントロール 2.8 コピー、早期胃がん 6.4 コピーと早期胃癌患者で有意に上昇を認めた。

また、健常コントロールと早期胃癌患者における ROC 解析にて、6.4 コピーをカットオフ値とした場合、検査感度 50.0%、特異度 80.3%が得られた。

新たなリキッドバイオプシー検査は、非侵襲的で簡便かつ微量検体測定可能で低コストの検査法である。

今後、新規の胃癌スクリーニング検査として、実用化に向けた研究の展開が必要となると思われる。