粘膜下腫瘍とは、正常粘膜の下層に存在する腫瘍で、通常の胃内視鏡による胃内腔からの観察では正常胃粘膜に覆われて充分な検査ができないが、多くは良性の粘膜下腫瘍のため経過観察となる。

そのなかで、消化管間質腫瘍(GIST)は主に胃や小腸等の消化管に発生する希少な軟部組織肉腫であり、外科的切除やチロシンキナーゼ阻害剤による標的療法が推奨されているが、選択肢は限定的であり、新たな治療法の開発が待たれている。

今回、GISTにおいてのみ過剰発現している蛋白質の一種である癌細胞膜上のGPR20をターゲットとした癌治療薬であるDS-6157における第1相臨床試験の報告があった。

本試験は、再発または進行性のGIST患者を対象とした日米等における第1相臨床試験であり、約40名の患者を対象に、DS-6157の投与量を段階的に増やしながら安全性と忍容性を評価し、最大耐用量と推奨用量を決定するパート1(用量漸増パート)と約60名の患者を対象に、推奨用量での安全性と共に、客観的奏効率、奏効期間、病勢コントロール率および無増悪生存期間を含む有効性を評価するパート2(用量展開パート)が行われた。

再発または進行性のGISTに対する有効な治療法としての新しい治療の選択肢と期待される。

第一三共株式会社とSarah Cannon Research Instituteとの提携のもと2番目に開始した臨床試験である。