5-フルオロウラシル(5-FU)系抗癌剤は、消化器癌をはじめとした様々な固形癌の治療に使用される。

しかし、投与患者の約30%に、骨髄抑制や出血性腸炎などの重篤な副作用が発現すると報告されている。

その主な要因として、酵素タンパク質の機能低下を誘引する遺伝子多型を有する場合、重篤な副作用が発現する可能性が極めて高いとされている。

重篤な副作用発現を回避するために、薬物代謝酵素の遺伝子多型により酵素機能がどの程度変化するのかを推測することが非常に重要である。

5-FU系抗癌剤の代謝に関わる酵素の遺伝的機能変化を評価する手法の1つとして、遺伝子組換え酵素を用いたバリアント酵素のin vitro解析がある。

今回、5-FU系抗癌剤を解毒する3つの代謝酵素(ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ、ジヒドロピリミジナーゼ及びβ-ウレイドプロピオナーゼ)の遺伝子多型バリアントの機能変化についての報告がなされた。

近年、遺伝子多型バリアント酵素のin vitro解析の結果をスコア化して、生体内での酵素活性を予測する研究も進んでおり、将来的に5-FU系抗がん剤の最適投与量ガイドライン設定の基礎データとなることが期待される。

本論文は、Journal of Clinical Medicine誌の電子版に掲載された。