今回、生活習慣リスク因子とABC分類を用いた個人の胃癌罹患予測モデルの精度についての多目的コホート研究成果がCancer Epidemiolにおいて報告された。

秋田県横手市雄物川町の45~64歳の約1300人を対象に、10年間で胃癌に罹患する確率の予測モデルの精度を確認した。

10年間に胃癌に罹患する予測モデルは、性別、年齢、喫煙、胃癌の家族歴、高塩分食品の摂取、胃癌のリスク分類である「ABC分類」に基づいて構築されている。ABC分類とは、血液中HpIgGによるヘリコバクター・ピロリ感染の有無と萎縮性胃炎の有無から、胃癌のリスクを分類した。

前回の他県の予測モデルの精度を確認するため、報告した予測モデルで検討した地域とは異なる地域の対象者において、予測モデルによる胃癌の罹患割合と、胃癌の罹患割合について検討を行った。

今回の対象地域の秋田県横手市雄物川町における約1300人において、10年間に27人が胃癌に罹患し、今回の研究結果において、予測モデルによる胃癌の罹患割合と、実際に観察された罹患者の割合は近似していることが明らかになった。

これらから、胃癌罹患の予測モデルは、予測モデルを検討した一部の対象者だけでなく、日本人への一般化が可能であることが考えられた。

今後、より大規模な集団で、胃癌罹患の予測モデルの精度に関する研究が必要と思われる。