アンチセンス核酸は細胞内のRNAを治療標的としているため、制御困難な細胞内遺伝子を標的にした治療薬として期待されている。

従来のRNAを標的とした1本鎖アンチセンス核酸の効果を大幅に向上できるDNA/RNAヘテロ2本鎖核酸(2015年8月11日東京医科歯科大学プレスリリース)が開発され、さらにこの技術を実用化に向けてさまざまな開発がなされている。

一方で、DNA/RNAヘテロ2本鎖核酸が効果を発揮するには、標的細胞内でDNA/RNAの2本鎖を切断する酵素であるRNaseHによりRNA相補鎖が切断されることが必要であるため、今回、DNA分解酵素の細胞内外における発現の違いからDNA相補鎖を用いたDNA/DNA 2本鎖核酸が細胞内でのみ治療効果を発揮するという報告がなされた。

アンチセンス核酸にDNAを基本構造とする相補鎖を結合したDNA/DNA 2本鎖核酸を合成し、相補鎖にビタミンE誘導体を結合してマウスの静脈内に投与すると、1本鎖アンチセンス核酸に比べて肝臓の標的RNAが顕著に抑制され、血中のLDLコレステロールも有意に低下させることが明らかになった。

次に、遺伝子抑制効果の向上は、複数の標的RNAに対して証明され、元となるアンチセンス核酸の長さや化学修飾を変えても保持されるため、さまざまな標的遺伝子に対しての応用が可能であると考えられる。

また、DNA相補鎖はRNA相補鎖に比べて肝臓内でより速く分解されており、DNA/DNA 2本鎖核酸は細胞内でDNA/RNAヘテロ2本鎖核酸とは異なるタンパク質に認識や代謝を受けているため、生物学的にも異なった意義を持っていることが示唆された。

また、副作用についても、DNA/DNA 2本鎖核酸はマウス投与後の肝臓や腎臓への障害はなく、サイトカイン上昇も認められなかった。

今後は、DNA/DNA 2本鎖核酸がアンチセンス核酸の効果を飛躍的に高めることから、従来の核酸医薬の構造の概念が拡張され、新規の治療薬としての臨床応用への開発が期待される。

本研究成果は、国際科学誌Molecular Therapyにオンライン版で発表された。