骨髄由来の赤血球、血小板、白血球などが異常増殖する骨髄増殖性腫瘍は、造血幹細胞に異常が生じることで発症する血液がんである。

異常血液細胞の増加が認められる早期段階から、やがて急性白血病に移行し、抗がん剤による治療が必要になる場合もある。

一方、正常な血球成分が増加する反応性血球増多は、骨髄増殖性腫瘍とは異なり、原因を取り除くことで血球成分を減らすことができるため、両者の治療法や予後は異なる。

ただ、臨床的に両者を鑑別することは難しく正確かつ容易な鑑別方法の確立が課題となっている。

今回、骨髄増殖性腫瘍と反応性血球増多を確実に鑑別できる指標を見つけ出すことを目的に、網羅的な遺伝子発現解析が施行された。

骨髄増殖性腫瘍の中でも血小板が腫瘍性に増加する本態性血小板血症と、反応性に増加している症例それぞれから、血小板を集め、そのRNAの発現情報をRNA-Seqという手法を用いて網羅的に解析した結果、CREB3L1という遺伝子が、本態性血小板血症の症例で特徴的に高く発現しており、反応性血球増多の症例では高い発現は見られなかった。

さらに、CREB3L1遺伝子が、本態性血小板血症だけでなく、他の骨髄増殖性腫瘍にも高く発現していることがわかった。

CREB3L1遺伝子の高発現率は100%であるため、骨髄増殖性腫瘍の診断を可能にするバイオマーカーとして極めて優れていることが明らかになった。

今後は、骨髄増殖性腫瘍の発症メカニズムを解明し、臨床的実用化が期待される。

本研究成果は、日本癌学会の機関誌Cancer Science誌のオンライン版に公開された。