咽頭がんに対する放射線治療は、嚥下機能などの喉頭機能を温存できるというメリットがある。

従来、喉頭がんに対する放射線治療として使用されたいた強度変調放射線治療(Intensity-modulated radiation therapy; IMRT)に代わり、近年、強度変調陽子線治療(Intensity-modulated proton therapy; IMPT)が脚光を浴びている。

IMPTは、小さな陽子線のスポットを照射する方向、強度をコンピューター上で計算して最適化することにより、IMRT よりも自由度の高い線量投与が可能となる技術であり、がんに根治線量を投与しつつ、正常臓器への線量が大幅に低減可能なこの IMPT の技術により、副作用低減が可能となった。

2016 年から 2019 年にかけて IMPT によって治療された 15 例の咽頭がん症例について後ろ向きに解析した結果が報告された。

また、全例で治療前に IMPT と IMRT の 2 つの放射線治療計画をシミュレーションで作成し、統計学的モデルを用いた副作用発症率の予測を行った。

頭頸部がんキャンサーボード にて、全例において IMPT の適応と判断され、実際に治療が行われ、同時期に IMRT で治療された 127 例の喉頭がん症例と副作用を比較した。

治療前の IMPT と IMRT の放射線治療計画シミュレーション比較においては、のどや口などの正常臓器線量は全て IMPT の方が低く、統計学的モデルによる嚥下障害、味覚障害などの予測副作用発症率も全て IMPT が低い値であった。

実際に IMPT で治療した 15 例とIMRT で治療した 127 例の副作用の比較においては、中等度以上の嚥下障害発症率は IMPT で 21%、IMRT で 57%、味覚障害は IMPT で47%、IMRT で 76%であった。

多変量解析により、これらの副作用発症率に関しては、IMPT またはIMRTの照射方法が独立因子であることが明らかになった。

今後は、陽子線治療が喉頭がんのみならず多くの癌腫において保険適応となり、非侵襲的で苦痛が少ない陽子線治療法の確立につながることが期待される。

本研究成果は、Journal of Radiation Researchにオンライン掲載された。