前回、早期大腸癌における根治的治療後の再発モニタリングとしての血中循環腫瘍DNA(ctDNA)の有用性について記載した。

今回、同じデンマークAarhus University Hospitalによって、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)の診断・予後予測・モニタリングの有用性が膀胱癌においても実証されることが報告された。

それによると、局所進行膀胱癌患者で全エクソームシーケンシングにより特定された特異的体細胞変異を用い、ultra deepシーケンシングにより、膀胱切除の前後および化学療法中のctDNAを評価している。

診断時のctDNA検出は、化学療法・手術後の臨床アウトカム(RFS・OS)の予測因子であり(ハザード比29.1)、膀胱切除後の疾患モニタリングにおいては、ctDNA解析はすべての転移性再発を特定している(感度100%・特異度98%)。

また、放射線画像診断へのリードタイムは中央値96日であった。

そして、治療前および治療中にctDNA陽性であった高リスク患者では、化学療法中のctDNA変動が疾患再発と関連している。

このように、ctDNAは、大腸癌のみならず膀胱癌患者の予後予測・疾患モニタリングにおいて既知の手法を上回る性能を有することが示唆された。

今後の検証結果により、さまざまな癌種においても応用できる可能性がある。