上皮間葉転換(Epithelial-mesenchymal-transition:EMT)は、細胞間接着の強い上皮系がん細胞が、細胞間接着が弱く運動性が高い間葉系がん細胞の形質を獲得する現象である。

EMTが生じることで、がん細胞は高い運動性を獲得し、多臓器への浸潤・転移が引き起こされる。

EMTを誘導する原因として、サイトカイン(細胞から分泌されるタンパク質)の1つであるTransforming growth factor β(TGF-β)がある。

今回、千葉大学大学院医学薬学府の研究グループは、EMT誘導メカニズムを解明するため、遺伝子発現データベースの解析を駆使してTGF-β刺激によって細胞内発現量の増加する因子を探索し、遺伝子発現調節因子Vestigial-like family member 3(VGLL3)を発見した。

これにより、VGLL3を阻害する作用をもつ、新しいがん治療薬開発が可能になると期待される。

本研究成果は、米国医学誌Journal of Cellular and Molecular Medicineにオンライン掲載された。