今回、樹状細胞免疫受容体(DCIR)の機能阻害により、大腸炎や大腸腫瘍を抑制できることが報告された。

東京理科大学生命医科学研究所実験動物学研究部門らの研究グループは、C型レクチン受容体の一つである樹状細胞免疫受容体(DCIR)を欠損させたマウスが、ヒト潰瘍性大腸炎のモデルであるデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導大腸炎に対し、耐性を示すことを発見した。

また、このDCIR欠損マウスでは、アゾキシメタン(AOM)とDSSで誘導した大腸腫瘍の発生も抑制された。

以前、アシアロ2本鎖N型糖鎖(NA2)がヒトおよびマウスDCIRの機能的リガンドであることが同定されており、今回、このNA2に対する阻害抗体を作製し、DSSまたはAOM-DSS処理した野生型マウスに投与したところ、大腸炎および大腸腫瘍の発症が強く抑制されることが明らかになった。

これらの結果により、DCIRが腸管の炎症および炎症依存的な大腸腫瘍の発症を促進していることが示唆され、DCIRを阻害することによって大腸炎や大腸癌を抑制する、新たな治療法の開発につながることが期待される。

本研究成果は、国際学術誌「Cell Reports」にオンライン掲載された。