肝臓癌
1:肝臓について
肝臓は右上腹部にあり、主たる機能は栄養分を蓄積しエネルギーに変えたり、有害物質を解毒・排出することです。また脂肪の消化吸収を助ける胆汁を生成します。
2:肝臓癌について
肝細癌は、肝臓の細胞が癌化して悪性腫瘍になったもので、肺やリンパ節、副腎、脳、骨などに転移することがあります。
上述した胆汁を排出する胆管が癌化したものは肝内胆管癌と呼ばれています。肝細胞癌と肝内胆管癌は、治療法が異なることから区別されています。また、肝臓以外の臓器にできた癌が肝臓に転移したものを転移性肝癌といい、肝細胞癌とは区別され、治療は転移をする前の原発の部位(最初に発生した癌)に準じて行います。
ここでは、肝細胞癌について解説します。なお、一般的には「肝癌」というと「肝細胞癌」のことを指します。
3:統計と発生要因
肝細胞癌および肝内胆管癌の発生患者数は、1年間に10万人あたり32.2人で、男性に多い傾向があります。50歳代から増加を始め、80歳前後でピークを迎えます。
肝細胞癌の発生する主な要因は、B型肝炎ウイルスあるいはC型肝炎ウイルスの持続感染によります。肝炎ウイルスにより肝細胞の炎症・再生が長期にわたって繰り返され、慢性肝炎から肝硬変へと進行し、それに伴い遺伝子の突然変異が積み重なり、癌化すると考えられています。
ウイルス感染以外の要因としては、NASH(脂肪肝)が注目されています。
4:症状
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、癌発生初期には自覚症状がほとんどありませんが、進行した場合は腹部のしこり・圧迫感、痛みなどが出る場合があります。
5:治療
基本的には肝切除術が行われますが、初期の場合は超音波ガイドによるラジオ波焼灼術が行われます。
上記の適応 外の場合は、抗癌剤治療、放射線治療またはカテーテルによる塞栓術などがあります。