卵巣癌
1:卵巣について
卵巣は、骨盤内中央に位置する子宮の両脇に1つずつある親指大の臓器です。卵巣は、女性ホルモンの分泌と成熟した卵子を毎月排卵する機能を有します。
2:卵巣癌について
卵巣癌は卵巣に発生した癌で、約90%は卵巣の表層を覆う細胞に由来する上皮性腫瘍です。進行すると、腹腔内に癌細胞が広がる腹膜播種が生じやすくなります。
また、大網、大動脈周囲や後腹膜リンパ節、大腸、小腸、横隔膜、脾臓などに転移することがあります。
3:統計と発生要因
年間発生数は、10万人あたり14.3人です。40歳代から増加を始め、50歳代前半から60歳代前半でピークを迎え、その後は次第に減少します。
発生要因としては、排卵の回数が多い場合、妊娠や出産の経験がない場合、初経が早く閉経が遅い場合などは発症する危険性が高くなる可能性があります。
その他に約10%は遺伝的要因によるものと考えられており、BRCA1遺伝子あるいはBRCA2遺伝子変異が発症する危険性を高めることがわかっています。
4:症状
初期はほとんど自覚症状がありません。下腹部にしこりが触れる、腹部膨満感などの症状から卵巣癌が発見されることもありますが、このようなときにはすでに癌が進行していることも少なくありません。
5:治療
基本的外科手術としては、両側の卵巣と卵管、子宮、大網を摘出します。腹膜播種などを起こしている場合は、主に抗癌剤治療が行われます。