薬剤を服用した場合、実際に病変部にまでたどり着いて効果を発揮するのは、服用量のわずか数%以下程度に過ぎず、その他のほとんどは正常組織に作用し副作用を引き起こすことになる。このような治療薬剤の全身投与により引き起こされる欠点を改善する技術がDDS(ドラッグデリバリーシステム)、すなわち薬物送達システムである。

DDSは、薬剤の投与部位から作用発現部位に至るまで、薬剤の体内動態を1つのシステムとして捉え制御することにより、薬剤の効用を高める一方で薬剤量や投与回数、副作用を軽減し、患者のQOL向上に大きく貢献すると考えられる。

さまざまな医療機関において、このDDSを利用した進行癌治療の可能性を切り拓く究極の創薬システムの開発が行われている。