⽶国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」に掲載された論文によると、今回開発された温度応答性両親媒性グラフトポリマーにより、この⾼分⼦が⾃⼰組織化構造を記憶する事やそのサイズを⾃在に制御できる事が明らかになった。

天然のタンパク質は、ポリペプチド鎖が折り畳まれた⾃⼰組織体であり、その構造は配列に依存して⼀義的な⽴体構造を取る。

⼀⽅で、⼈⼯タンパク質の折り畳みによる⾃⼰組織化では、天然タンパク質のような構造形成は困難であった。

今回、多糖と温度応答性⾼分⼦からなる⾼分⼦が、⾃発的に折り畳まれて特定のサイズの ベシクル構造を形成する事が可能となった。

また、そのサイズはポリマー濃度を変化させる事で⾃在に調整できる事が明らかになり、さらに、このベシクルを冷却して崩壊させても、再度温度を上昇させることにより、全く同じサイズのベシクル構造に復元するができとなり、ベシクル構造を記憶している事も確認できた。

今回開発された⾼分⼦の⾃⼰組織化法は、特定の構造の分⼦集合体を⾃在に作り分ける新しい分⼦組織化技術を提唱するもので、ドラッグデリバリーシステムにおける優れた薬物運搬体の創出につながると期待される。