細胞外小胞(EV)とは、癌の増殖・進展に関与する物質を内包するナノサイズの小さな袋である。

EV が、癌細胞から全身にばらまかれることで、癌の増殖・転移が促進されるため、この EV を抑え込むことによる癌治療への期待が高まっている。

特に、エクソソームという EV が癌の増殖や転移と関連することは明らかであったが、今回、別種の EV(非エクソソーム)も癌の進行に関わる物質を含んでいることが報告された。

癌細胞の小胞体において、タンパク質の構成成分であるアスパラギンというアミノ酸に糖鎖が付くことにより、エクソソームと異なる EV を選択的に作り出していることが明らかになった。

これらにより、多様な EV が作られるメカニズムを解明していくことにより、EV を標的とした癌の治療法の開発に貢献することが期待される。

本研究成果は、米国の学術誌『Cell Reports』オンライン版に掲載された。