癌のゲノム異常に基づいて治療薬の効果を検証する治験が行われているが、従来は腫瘍組織による解析が使用されてきたが、腫瘍組織が採取できない場合や腫瘍組織の解析に時間を要する。

そのため、近年、リキッドバイオプシーによるゲノム異常の解析による研究が活発に行われている。

リキッドバイオプシーは腫瘍検体の必要性がなく、検査結果の返却も早いため、将来、有望な癌のスクリーニング検査として期待を集めている。

今回、産学連携全国がんゲノムスクリーニング事業「SCRUM-Japan(スクラム・ジャパン)」の基盤を活用した癌ゲノムスクリーニングとしての腫瘍組織検査とリキッドバイオプシーの有用性を大規模に比較した研究が報告された。

2015年2月から2019年4月まで(4年2ヶ月)にGI-SCREEN-Japan(腫瘍組織検査)に登録された5743例と、2018年1月から2019年8月まで(1年7ヶ月)にGOZILA Study(リキッドバイオプシー)に登録された1787例を比較した。

さらに、GOZILA Studyのリキッドバイオプシーで同定されたゲノム異常のプロファイリングの結果、有用なバイオマーカーや治療標的として将来的な臨床開発に繋がる可能性のある新たなドライバー遺伝子異常(食道扁平上皮がんのNFE2L2変異や膵がんのGNAS変異、胆道癌のCTNNB1変異など)が複数見出された。

これらにより、身体に優しい非侵襲性のリキッドバイオプシーが新たな癌スクリーニング検査として最善の医療を提供できることが期待される。

本研究成果は米国科学雑誌「Nature Medicine」オンライン版に掲載された。