シスプラチンなどの抗がん剤は、遺伝子複製を阻害したり酸化ストレスを与えることにより、がん細胞を傷害するが、使用を続けることにより耐性が生じ、やがて効果が消失する。

今回、抗がん剤が効くがん細胞よりも、抗がん耐性のがん細胞を選択的に強く傷害する薬剤についての報告がなされた。

日本国内で承認されている医薬品のほぼ全てをについてスクリーニングを行った(BINDSプロジェクト0474)。

この結果、狙った活性を持つ承認医薬品として、クロペラスチンという咳止め薬が発見された。

この薬剤は、ヒスタミンH1受容体の活性を阻害する働きを有しており、ヒスタミンH1受容体の阻害剤である別の2種の薬剤も、同様に抗がん剤耐性がん細胞を傷害することが明らかになった。

今後は、抗がん剤治療における耐性を抑制することにより治療成績の飛躍的向上につながることが期待される。

本研究成果は、国際科学雑誌「Scientific Reports」オンライン版に掲載された。