国立がん研究センター研究所と名古屋大学などの研究チームは、がん組織に存在するPD-1を発現した制御性T細胞がPD-1/PD-L1阻害薬治療耐性と相関があることを報告している。

今回、同研究チームは、肝転移病変を始めとした解糖系が亢進した腫瘍において免疫チェックポイント阻害薬治療に耐性が導かれる新たな機構を発見した。

肝転移病変を始めとした解糖系が亢進した腫瘍において、グルコースが代謝されることによりがん組織内の乳酸濃度が高まり、それに伴い制御性T細胞のPD-1発現が高まり、PD-1/PD-L1阻害薬治療耐性につながっていることを明らかにした。

また、T細胞の中で制御性T細胞だけが乳酸を代謝して活性化する経路を有していることを発見し、それにより制御性T細胞が乳酸濃度の高いがん組織で活性化(PD-1発現)していることも明らかにした。

これにより、免疫チェックポイント阻害薬の治療効果を改善する新規治療法の開発につながると考えられる。

本研究成果は、米国科学雑誌「Cancer Cell」電子版に掲載された。