がんは進行とともに増大し肺・肝・脳などの臓器に遠隔転移する。

その後、身体に体重減少や代謝異常などさまざまな異常 を引き起こす。

このメカニズムは、がんが離れた位置にある宿主臓器や細胞に作用できる特質を有することにある。

東北大学加齢医学研究所 生体情報解析分野と京都大学 医生物学研究所 臓器連関研究チーム の研究グループは、東京大学、九州大学、京都大学の研究チームとの共同研究により、がんが、離れた位置にある肝臓でニコチンアミドメチル基転移酵素(NNMT)の発現量を増加させ、多様な代謝異常を引き起こしていることを発見した。

NNMTを欠失させたマウスではがんによる肝臓の異常の一部が緩和され、全身性の不調も部分的に抑制された。

本成果により、がんに起因する身体の不調の全体像を理解する一助となり、不調を強力に抑え込む方法論の開発につながることが期待される。

本研究成果は、「Nature communications」に掲載された。