中期進行肝がんでは、カテーテルで抗がん剤と塞栓物質を注入してがん細胞の増殖を抑えるTACEでは、期待できない病態があり、日本の肝癌診療ガイドラインに掲載したことで、その後、ヨーロッパや米国にもその概念が取り入れられるようになっている、
肝がんの治療薬としては、長い間ソラフェニブやレンバチニブが用いられてきたが、アテゾリズマブとベバシズマブという、免疫チェックポイント阻害剤を併用する治療法が保険承認となり、進行肝がんを中心に多数の患者に使用が開始された。
今回、近畿大学医学部を中心とする研究チームは、国内6施設と香港1施設との共同研究において、切除不能な中期進行肝がん患者を治癒に導く新規治療法を世界で初めて開発した。
アテゾリズマブとベバシズマブという2種類の薬剤を用い、腫瘍が縮小した症例は切除等で根治させることができ、また、縮小しなかった場合も肝動脈塞栓療法(TACE)を複合免疫療法と併用することで、TACEで狙ったがんのみでなく、その他の部位に存在するがんも治癒に導けることを証明した。(Atezolizumab plus Bevacizumab followed by Curative Conversion治療:ABCコンバージョン治療)。
これにより、将来的に、中期進行肝がん患者に対する世界的な標準治療法になることが期待される。
本研究成果は、国際的学術誌”Liver Cancer”にオンライン掲載された。