KRAS遺伝子の変異は多くの癌種に発生し、肺腺癌の約13%、大腸癌の3%、その他の固形癌の2%で変異の発生が認められる。

今回、KRAS遺伝子の活性を阻害することで作用する抗癌剤AMG510の開発について報告された。

それによると、Kras変異型がんのマウスモデルを使った試験が実施され、KRAS阻害剤治療により、増殖中の腫瘍の縮小、消失が認められた。

また、KRAS阻害剤用量漸増治療により、2人のKRAS変異型癌患者のうち、1人の患者の腫瘍が34%縮小し、もう1人の患者の腫瘍は67%縮小した。

これは、変異型選択的なKRASの直接阻害剤に反応した癌患者の最初の報告である。

今回の発表は、KRAS阻害剤が単独であるいは他の抗がん戦略との併用によって効果的に作用することを示唆しており、高頻度かつ特異的な遺伝的異常を標的とする新しい抗癌剤の開発の研究成果が確認された。