細胞の増殖を司るPKCやMAPKなどの酵素の働きが活発になることにより、がん細胞の増殖が亢進する。
今回、「ストレス顆粒」という構造体がPKCやMAPKの活性化を調節する“安全ブレーキ”の役割を持つことが報告された。
ストレス顆粒は、「ミトコンドリア」や「核」などの小器官とは異なり、「非膜型細胞内小器官」と呼ばれ、一部のがんや神経変性疾患などで過剰に分泌される。
細胞内でPKCにGFP(緑色蛍光タンパク質)を標識し、PKCの細胞内局在を可視化し、熱刺激を加えるとMAPKが活性化し、続いてPKCが細胞質内のストレス顆粒に取り込まれることが明らかになった。
MAPKが活性化するとPKCのストレス顆粒への取り込みを促進することもわかり、さらに、PKCがストレス顆粒に取り込まれない状況では、MAPKが過剰に活性化することも明らかになった。
これらより、ストレス顆粒は活性化したPKCを取り込み、隔離することにより、MAPKを過度に活性化できないようにする抑制機能を担っていることが示唆された。
今後、ストレス顆粒をコントロールすることにより、PKCやMAPKの過剰な活性化を原因とする疾患の治療につながる可能性が期待できる。
本研究成果は、アメリカの生命科学系雑誌「Journal of Cell Science」に掲載された。