細胞は化学物質・放射線・温度ストレスなど様々な傷害を受けた際に、DAMPと呼ばれる免疫を活性化させる分子を放出する。
がん細胞からのDAMPの放出はがん免疫の活性化とそれに伴うがん細胞の排除を促進することから、がんの治療効果にも影響すると考えられる。
トポテカンと呼ばれる抗がん剤で処理したがん細胞から免疫を活性化させるDAMPが放出され、がん免疫を促進させるメカニズムについては明らかでなかった。
今回、北海道大学大学院薬学研究院らの研究グループは、トポテカンと呼ばれる抗がん剤が新規の標的タンパクであるRPL15を阻害することにより、がん免疫の活性化を促進することを明らかにした。
本研究ではトポテカンには既知の標的タンパクであるトポイソメラーゼI以外に新規の標的としてRPL15が存在することを見出し、トポテカンはRPL15を阻害することでがん細胞からのDAMPの放出を促進することを解明した。
さらに抗PD-1抗体に対して抵抗性の皮膚がん(メラノーマ)腫瘍において、RPL15の機能を阻害することで感受性に変化することをマウスの腫瘍移植モデルで明らかにしました。
これらの結果から、トポイソメラーゼIには作用しないRPL15に特異的な阻害剤が開発できれば、抗PD-1抗体などのがん免疫療法の改良への貢献が期待できる。
本研究成果は、Journal of Immunology誌にてオンライン公開された。