京都大学の斉藤博英教授らは、治療に必要なRNA (リボ核酸)と結合させた人工たんぱく質を調節することによりRNAを自在に制御する技術を開発した。

遺伝子を体内に投与して治療を行う「遺伝子治療」の研究開発が進んでいるが、体内にはDNAよりもRNAを投与する方が安全性が高い。ただ、RNAの機能を体内で自在に制御できる技術は非常に難しい。研究チームは人工的に合成したRNAと結合させた人工たんぱく質「CaVT」を開発した。CaVTRNAと強く結合するとその働きを抑制し、弱く結合するとその働きを増強させる。このCaVTとapoptosisさせるRNAを組み合わせ、癌細胞に組み込むと細胞自然死が促進された。このCaVTを癌細胞内においてさまざまな制御設計することにより癌治療に応用できると考えられる。

論文は310日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表された。