さまざまな癌種において、その予後は重要な因子である。

ほとんどの癌は5年生存率によって予後判定がなされるが、乳癌においては長期再発が認められるため、10年生存率をもって予後判定としている。

今回、乳癌患者の中で特定の患者群が有する晩期再発のリスクが明らかにされた。

このモデル化研究は、リスクの高い患者を同定する精度を向上させ、この患者群に向けた新たな治療法の開発につながる可能性がある。

乳癌患者の再発リスクは、腫瘍の生物学的特性によって大きく異なっている。こうした再発リスクの解明が進めば、長期治療法の精度が高まり、患者の転帰を改善できる可能性がある。

今回、1977~2005年に乳がんと診断された英国とカナダの患者3240人における再発と死亡のさまざまなリスクの経時変化をモデル化した。

このモデルでは、再発した腫瘍の原発巣からの距離・手術後の経過時間・年齢と腫瘍の大きさなど、乳癌のさまざまな状態や因子などを解析している。

この結果、腫瘍の晩期再発が起こる4つの乳癌サブタイプが同定され、その中には、エストロゲン受容体陽性(ER+)でヒト上皮細胞増殖因子受容体2陰性(HER2-)の乳がんの26%が含まれており、診断後20年間で再発するリスクは42~55%であった。

これらの知見は、乳癌患者において再発リスクの推定精度を向上させ、経過観察と層別化を改善するために重要な情報となる可能性がある。

ただ、今後、標的を正確に定めた治療法によって、さまざまな乳癌サブタイプの転帰を変えられることができるかについて調査する必要がある。