癌の診断・治療・予後において、バイオマーカーとしての miRNA 発現パターンとの関連性についての解析が盛んに行われている。

microRNA 発現プロファイルが癌種固有のパターンを示すことは、miRNA のバイオマーカーとしての有用性につながる重要な発見であった。例えば 前立腺癌においては、緊急的治療が必要な悪性度の高いものであるか、または進行の緩やかなものであるかを判断することは、従来のバイオマーカーによる判定では困難であった。

しかし、最近になり前立腺癌患者の血清より microRNA を採取して解析した14 種類の microRNA の発現パターンが、悪性度が高い腫瘍の患者と比較的低い腫瘍の患者では異なることが明らかになり、緊急的治療が必要のない患者に対する過剰な治療を防止することができるようになった。また前立腺癌については、microRNA の解析が骨転移の判定に有用であり、microRNA-15microRNA-16microRNA-21 の量と前立腺癌の骨転移の頻度が、高い関連性を持つことが報告されている。

前立腺癌以外にも、さまざまな癌種における進行度とmicroRNAの関連性が明らかになり、また早期癌の段階で癌の発生を捉えることも可能になってきている。