今回、機械学習の手法によって血液検体中の腫瘍由来DNAを検出(いわゆる「液体生検」)し、検診での肺癌スクリーニングに利用する研究がNature に掲載された。従来の検診方法はCTスキャンであり、これによって肺癌関連死が減少したことは事実であるが、CTスキャンは、費用・検診プログラムの面や偽陽性に対する懸念などの要因により、受診率が低迷している。

上記のデメリットを解消するため、CTスキャンに代わる肺癌検診方法として、循環血中腫瘍DNA(ctDNA)を評価するために既存の塩基配列決定法を最適化した。その結果、DNAの回収が改善され、肺癌の有用なマーカーとして役立つ可能性のあるDNAの変化が同定された。

また、この塩基配列決定法を用いて、早期肺癌におけるctDNAの値は非常に低く、ctDNAが早期肺癌の強力な予後マーカーであることが明らかになり、これらのデータを利用して、血液検体中の肺癌由来DNAの存在を予測するための機械学習法が改良された。

その結果、小細胞肺癌以外の早期肺癌患者とそれにマッチした対照群の初回検体を検証した場合、早期肺癌患者とそれにリスクがマッチした対照群の患者とで区別でき、早期肺癌患者群と対照群からなる独立検証コホートにおいて確認が可能であった。