ボロノフェニルアラニン(BPA)は、癌増殖抑制および死滅効果を有するホウ素製剤である。

ただ、BPAは癌に選択的に集積することができるが、癌に長期的に留まることができず、その滞留性を向上させる必要があった。

今回、液体のりの主成分であるポリビニルアルコールを中性子捕捉療法用のBPAに加えるだけで、その治療効果を大幅に向上できることを発見し、マウスの皮下腫瘍をほぼ消失させることに成功したと報告された。

ポリビニルアルコールのスライム性質を利用して、BPAを結合することにより、癌細胞に選択的に取り込まれ、その滞留性を大きく向上できることを明らかにした。更に、マウスの皮下腫瘍に対するその治療効果を検討した結果、ほぼ根治することが確認された。

本研究成果は、従来の方法では治療困難ながんに対する革新的治療法として応用が期待され、2020年1月22日(米国東部時間)に米国のオープンアクセスオンライン科学誌「Science Advances」に掲載された。