卵巣癌は卵巣に発生した癌で、約90%は卵巣の表層を覆う細胞に由来する上皮性腫瘍である。

進行すると腹腔内に癌細胞が広がる腹膜播種が生じやすくなり、大網、大動脈周囲や後腹膜リンパ節、大腸、小腸、横隔膜、脾臓などに転移することがある。

今回、インターロイキン34 (IL-34)が、卵巣癌患者の癌病巣における進展に重要な因子である事が初めて解明された。

マウスの卵巣癌細胞株を用いた実験において,癌細胞が IL-34 を産生する条件下では、癌細胞を攻撃する役割を担うキラーT 細胞の割合が、減少する傾向にあることが示唆され、また、ヒトの卵巣癌細胞株の培養液中に抗癌剤を添加した実験では、生存している癌細胞内でのIL-34 を産生するために必要な遺伝子の発現が上昇していることが明らかになった。

さらに、外科的手術及び抗癌剤治療を行った後に再発した癌の病巣において、IL-34 の発現が高いレベルで検出されることも発見された。

本結果は、卵巣癌の進行と IL-34 の関係性を示唆するものであり、IL-34 を標的とした卵巣癌に対する新たな治療法の開発に繋がるものと期待される。