神経線維腫症2型(NF2)は、10~20歳代での発症が多く、ほぼ全例で多数の神経系腫瘍が生じ、比較的速く進行していく希少性難治性疾患である。
MRI 又はCT で両側聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)が認められ、また、親・子供・兄弟姉妹のいずれかが神経線維腫症2型のときには、本人に片側性の聴神経腫瘍、又は神経鞘腫・髄膜腫・神経膠腫・若年性白内障のうちいずれか2種類が存在する。
最も多い症状は聴神経腫瘍による難聴・めまい・ふらつき・耳鳴りなどで、その他、痙攣・半身麻痺などの重篤な症状を伴うこともあり、治療には手術や放射線治療が行われているが、多発性腫瘍の制御は困難で、新たな治療法の開発が求められている。
今回、NF2の腫瘍血管が血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)を高発現していることに着目し、新たな治療法であるVEGFRワクチンの開発に成功したことが報告された。ワクチンにより活性化された細胞傷害性T細胞(CTL)は、VEGFRを発現している細胞を標的として破壊し、また、CTLは体内で持続するため、長期効果が期待される。
この神経線維腫症2型(NF2)に対する世界初の免疫療法の臨床試験において、ペプチドワクチンの安全性、有効性が確認された。
本研究成果は、英科学誌『Nature communications』(オンライン版)に掲載された。