女性ホルモンであるエストロゲンと化学構造が類似する大豆製品のイソフラボンにはエストロゲン作用がある。

エストロゲンは乳がんのリスクを上げるため、イソフラボンを阻害することで乳がんに対して予防的にはたらくと考えられる。

非発酵食品と比べ発酵大豆食品中のイソフラボンは体内での吸収が容易かつ速いことがわかっている。

今回、食事調査アンケートの結果を用いて、総大豆食品(発酵・非発酵)・イソフラボンは、摂取量が少ない人から人数が均等になるよう4つのグループに分け、最も少ないグループと比較したその他のグループの、その後の乳がんの罹患リスクの調査報告がなされた。

分析にあたって、年齢、地域、体格、身長、喫煙、飲酒習慣、エネルギー摂取量、余暇の身体活動、糖尿病の既往有無、乳がんの家族歴、乳がん検診受診の有無、初潮年齢、初産年齢、授乳歴、出産回数、閉経年齢、ホルモン治療の有無で統計学的に調整し、これらの影響を除外した。

大豆食品摂取量は発酵の有無にかかわらず乳がんの罹患リスクとは関連しない追跡期間中(平均15.5年)に、825名の女性の乳がん罹患が確認されたが、総大豆食品の摂取量と乳がんの罹患リスクとは関連が明らかでなかった。

また、発酵大豆食品と非発酵大豆食品に分けて分析した場合でも、関連はみられなかった。

このように、発酵大豆食品摂取量が多いグループでは進行乳がんの罹患リスクが低い傾向にあるが、今後は、追跡中の食事の変化、日本食に含まれる他の食品や検診受診などの健康的な生活習慣の影響、乳がん診断時の閉経状態、乳がんのホルモン受容体の情報などを考慮したさらなる多目的コホート研究は必要と考えられる。

本研究成果は、Cancer Med Webにて公開された。