生体内のおけるさまざまな細胞は、それぞれに発現している遺伝子や代謝経路も大きく異なる。

今回、骨肉腫細胞を骨肉腫として維持していくには、TNIKというタンパク質リン酸化酵素が活性化していることが必須であることが明らかにされ、骨肉腫を脂肪細胞へ変化させることに成功した。

骨肉腫細胞のTNIK遺伝子の発現を抑制すると、脂肪細胞特有の遺伝子にスイッチが入り、骨肉腫の細胞が脂肪細胞様に変化することがわかった。

さらに、NCB-0846というTNIKを阻害する薬剤でも同様に、遺伝子や代謝経路の切り替えが起こり、マウスに移植した骨肉腫を脂肪組織に変えてしまうことが明らかになった。

マウスに骨肉腫細胞を移植すると、一部類骨を作りながら増殖する骨肉腫になるが、NCB-0846をマウスに投与すると、脂肪組織に変化なった。

今後、TNIK阻害薬を治療薬として実用化が可能となれば、骨肉腫治療の新たな戦力となりうる。

本研究成果は、米国機関紙『JCI Insight』の電子版に掲載された。