抗がん剤であるオキサリプラチンは、末梢神経障害の副作用を有し、そのために治療を中止せざるを得ない場合がある。
オキサリプラチン誘発末梢神経障害は、治療薬候補の有効性評価が難しく、有効な治療薬は発見されていなかったが、今回、ビッグデータ解析などのデータ科学の手法を用いて、副作用を軽減できる薬剤が発見された。
岡山大学などの研究グループは、まず、約770万件の薬剤性副作用報告を集積している米食品医薬品局(FDA)の有害事象報告システムデータベースから、オキサリプラチンと併用したときに末梢神経障害を軽減する既存承認薬を検索し、さらに、米国立衛生研究所(NIH)が提供している遺伝子発現データベースから、オキサリプラチン誘発末梢神経障害に関連した遺伝子発現変化を打ち消す既存承認薬を探索した。
これらのデータベースの解析結果から、高脂血症治療薬であるシンバスタチンが、オキサリプラチン誘発末梢神経障害の新たな治療薬となる可能性が認められた。
本研究成果は、「バイオメディシン・アンド・ファーマコセラピー(Biomedicine&Pharmacotherapy)」誌に掲載された。