近年、食道がんに対して、手術に先行して術前化学療法を行うことで生命予後が改善することが証明され、術前化学療法は食道扁平上皮がんの標準治療となっている。

しかし、摘出検体を検証すると、約半数程度にしか効果を示しておらず、完全にがん細胞が消失しているのはわずか20-30%程度である。

今回、東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 消化管外科学分野と米国シティオブホープ ナショナルメディカルセンター ベックマン研究所、熊本大学大学院 消化器外科学、名古屋大学大学院 消化器外科学らの研究グループは、手術検体を用いて分子バイオマーカーのモデル開発を行い、最終的に治療前に採取した血液検体を使用して検証を行うことで、治療開始前の採血検査を用いて食道扁平上皮がんの術前化学療法の効果を予測できるリキッドバイオプシーモデルを開発した。

これにより、開発したリキッドバイオプシーモデルを応用した食道扁平上皮がんの個別化医療の実現が期待される。

本研究成果は、国際科学誌Annals of Surgery (アナルズ・オブ・サージャリー)で発表された。