膵臓がんは、早期発見が難しく、外科的切除不能な段階で見つかることも多い予後不良な難治性がんである。

今回、北海道大学大学院医学院消化器外科学教室、旭川医科大学内科学講座(病態代謝・消化器・血液腫瘍制御内科学分野(がんゲノム医学部門)、札幌東徳洲会病院医学研究所、東北大学大学院医学系研究科病態病理学分野らの共同研究グループは、膵癌のゲノムデータを解析し、臨床データと集約することで、膵癌の外科切除後の新しい予後予測モデルを作成した。

まず、膵癌術後長期生存例32例と術後早期再発死亡例34例のゲノム解析により変異データを集約し、臨床データを含め比較検討した。

その結果、がん抑制遺伝子TP53の変異形式が予後に関連する可能性があることが示唆された。

これにより、同変異形式とSMAD4変異の有無に加え、腫瘍マーカーCA19-9の値を用いた新規の予後予測モデルを作成した。

さらに、計21例の膵癌術後検体を使用することにより、同モデルの有効性が示された。

本研究結果により、今後は膵癌診断時に採取される組織のゲノム解析の結果と採血結果を用いて、手術や化学療法などの治療選択に貢献することが期待される。

本研究の成果は、Annals of Surgical Oncology誌に掲載された。