京都大学医学研究科らの研究グループにより、免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体など)非感受性LLC1肺がんモデル動物において生理活性脂質プロスタグランジンE2(PGE2)が受容体EP2・EP4を介して、炎症反応・血管新生及び制御性T細胞(Treg)のリクルート・活性化を促進するという作用機序が報告された。

また、ヒト扁平上皮肺がん、卵巣漿液性嚢胞腺がん、浸潤性乳がんおよび肝細胞がんにおいて、EP2およびEP4の発現量は、動物モデルで見出された炎症反応・血管新生関連遺伝子および制御性T細胞の動員・活性化関連遺伝子の発現量と強く相関し、予後と逆相関することを明らかにした。

これにより、EP2/EP4阻害薬は、これらのヒトがんに対し、炎症とTregを抑制することにより、腫瘍微小環境での免疫抑制を解除し、抗腫瘍効果を発揮する作用が示唆された。

現在臨床で用いられている免疫チェックポイント阻害薬に比べて、特定のがんにおいてより効果的な治療薬となる可能性がある。

本研究成果は、医学雑誌「Cell Reports」オンライン版で公開された。