キメラ抗原受容体(CAR)は抗原を特異的に認識する抗体部分(scFv)と細胞内へシグナルを伝達する部分(CD3ζおよび共刺激分子)をもつ受容体であり、CD19抗原を特異的に認識するCARを発現したT細胞(CAR-T細胞)はCD19陽性急性Bリンパ腫に対して優れた治療効果を発揮する。

しかしながら、CAR-T細胞の患者さん体内での生存期間は短く、固形腫瘍においてはCAR-T細胞の治療効果が乏しいことが課題となっている。

CAR-T細胞による高い治療効果を得るためには患者体内で長期生存を達成する必要があり、その解決方策の一つにCAR遺伝子に含まれるマウスやラット由来遺伝子配列をヒト化することが挙げられます。

今回、PDPNを高発現している悪性腫瘍(がん)を効果的に傷害するヒト化CARの作製に成功したとの報告がなされた。

本研究では、脳腫瘍などの固形がんに多く発現し、がん患者さんの予後不良と関連するPodoplanin(PDPN)(をターゲットにしたヒト化CAR(の作製を試みた。

新しく作製されたヒト化CARであるNZ-27 CARはこれまでに作成されたPDPN特異的CARであるNZ-1 CARと比較してT細胞表面に有意に発現し、PDPN特異的なT細胞活性化シグナルの向上が観察された。

実際にNZ-27 CAR-T細胞はNZ-1 CAR-T細胞と比較してPDPN発現細胞に対する細胞傷害活性能、炎症性サイトカイン産生能、PDPN発現腫瘍に対する抗腫瘍効果が有意に向上した。

これにより、PDPN発現腫瘍に対する抗腫瘍効果を向上させたCAR-T治療の開発につながることが期待される。

本研究成果は、「Genes to Cells」誌に掲載された。