肺癌においてEGFR-TKI耐性は治療効果にさまざまな抑制機能を惹起する。

北海道大学大学院医学院と同大学院医学研究院腫瘍内科学教室らの研究グループは、同大学病院呼吸器内科、病理診断科などと共同研究を行い、EGFR-TKI治療がEGFR変異陽性肺癌において自然免疫シグナル伝達経路を介して免疫逃避的な腫瘍微小環境を形成していることを示し、EGFR変異陽性肺癌患者において自然免疫シグナル伝達経路が治療ターゲットとなる可能性を見出した。

EGFR変異陽性肺癌は、EGFR-TKI治療によって自然免疫チェックポイントであるCD24発現を上昇させることが分かった。

また、抗CD24抗体を用いることで、EGFR-TKI処理したEGFR変異陽性肺癌細胞株に対してマクロファージによる抗腫瘍免疫応答(抗体依存性細胞貪食)が起きることを明らかにした。

続いて、EGFR-TKI処理したEGFR変異陽性肺癌細胞株はcfDNAの放出を著明に増加することを発見した。

THP-1単球を用いてcfDNAがSTING経路依存性にIRFシグナル伝達経路を活性化し、マクロファージのCXCL9産生能を阻害することも明らかにした。

これにより、EGFR変異陽性肺癌患者のEGFR-TKI耐性克服においてCD24やcfDNAが新規標的となることが期待される。

本研究成果は、Cancer Science誌に掲載された。