細胞が老化することで、がんの進行を止めたり、免疫の反応を強化することができることが明らかになっているが、治療薬による細胞の老化ががんの進行や治療にどのように関係しているのかは、まだ完全には解明されていない。

ATP6AP2 というたんぱく質は、細胞内の酸性度を維持する役割があり、がんの進行にも関与している。

しかし、乳がんの主要な治療薬であるドキソルビシンやアベマシクリブを使ったときの細胞の反応にどのように関与しているのか、そのメカニズムはまだ明らかになっていない。さらに、細胞内の酸性度が変わることが、がん細胞の行動にどのように影響するのかも、非常に注目されている。

細胞の老化と細胞内の酸性度の関係、そしてこれらが乳がんの治療にどのように関係しているのかを理解することで、新しい治療法の開発への手がかりが得られる。

今回、河口浩介 医学研究科助教らの研究グループは、乳がん細胞の老化と治療に関連する新たな研究結果を発表した。

本研究では、乳がんの主要な治療薬である、ドキソルビシンとアベマシクリブという薬剤を使用して乳がん細胞を老化させた。

その結果、ATP6AP2というメッセンジャーRNAの減少が、リソソームの機能不全と細胞内の異常なpHレベルを引き起こすことが確認された。

これにより、老化がん細胞の免疫プロファイルの変化と関連している可能性が示唆され、抗がん治療への応答としての老化のメカニズムを理解するための新しい知見となり、乳がん治療の新たな方法やアプローチの開発に寄与する可能性が期待される。

本研究成果は、国際学術誌「Communications Biology」にオンライン掲載された。