癌細胞と正常細胞におけるDNAの違いを利用し短時間で初期の癌細胞を検出できる検査法がNatureに掲載された。

成熟細胞のDNAを修飾するDNAメチル化(DNAの塩基の1つにメチル基が付加すること)は、遺伝的にプログラムされている。

健康な細胞のゲノム情報とは大きく異なる癌細胞のゲノム情報により、ほとんどの種類で、メチル化レベルとメチル化パターンが異なることについて明らかになっている。

今回、癌細胞の種類によってメチル化の全体像が異なるため、DNAの物理化学的特性に影響が生じていることが発見され、特に、DNAは強く金ナノ粒子に吸着することから、この挙動を利用して癌を検出する検査法が開発された。

さまざまな種類の癌が含まれるヒト検体100点以上(癌患者72人と健常者31人のゲノムDNA)を用いて、患者由来の微量の精製したゲノムDNAを検証している。

現段階では、この検査で判定できるのは癌細胞の有無だけで、癌の種類やステージは検出できない。

今後は、サンプル数を増やした検証が必要となり、また、より詳細な解析を行えるように検査法を改良する必要があると思われる。