切除不能進行性原発性肝癌の従来のソラフェニブ治療と比較し、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法が大幅に生存期間を延長するという研究結果が発表され、今後はアテゾリズマブ+ベバシズマブが肝癌に対する一次治療薬となると考えられているが、アテゾリズマブ+ベバシズマブが不応となった後の二次治療についてはいまだ確立されておらず、有効な治療法を早急に確立する必要がある。
今回、切除不能の肝細胞癌に対する免疫チェックポイント阻害剤の効果が消失した後の二次治療として、分子標的薬レンバチニブが投与され、免疫チェックポイント阻害剤の後で投与されたレンバチニブの無増悪再発期間は中央値10.03カ月(範囲:8.3-11.8)で、レンバチニブ開始時点からの全生存期間は中央値15.8カ月(範囲:8.5-23.2)、免疫チェックポイント阻害剤開始時点からの全生存期間は中央値29.8カ月(範囲:25.3-34.4)と極めて良好な成績で極めて有効であることが実証された。
また、肝細胞癌治療効果判定に使用されるmRECISTによる完全奏効は2.8%、部分奏効は52.8%、 病勢安定は30.6%、 病勢進行は11.1%で、奏効率55.6%、病勢コントロール率86.1%であり、レンバチニブ投与開始後4週目までに、83.3%の患者で腫瘍の縮小が観察され、4例を除く26例では再増大することなく、効果が維持された。
これらより、レンバチニブは肝細胞癌の一次治療としても有効であるが、免疫チェックポイント阻害剤療法の直後に使用することでさらに効果が向上し、生存期間が約2倍となることが世界で初めて確認された。
本研究成果は、腫瘍学部門の専門誌「Cancers」にオンライン掲載された。