高齢男性の罹患率が高い前立腺癌は、比較的進行が遅い特徴を有するが、骨転移などを引き起こす場合があり、他臓器に広がった進行前立腺癌で発見されることもある。
進行前立腺癌の治療には、男性ホルモンを抑制する薬剤投与が行われるが、数年で効果が減弱・消失する。
今回、進行前立腺癌において10-30%の割合で発生するRB1遺伝子欠失に付随して起こるSUCLA2遺伝子欠失を標的として前立腺癌の進行を抑制する新しい治療薬剤の開発についての報告がなされた。
およそ2000個の化合物を調査し、その中でチモキノン化合物が、SUCLA2遺伝子欠失の進行前立腺癌の治療に効果的であることが明らかにされた。
多くの進行前立腺癌において、RB1遺伝子に加えてSUCLA2遺伝子の欠失を伴うことにより増殖がUPすることが明らかになった。
この治療薬は、今後、進行前立腺癌だけではなく、SUCLA2遺伝子欠失が一定程度の症例において認められる肝細胞癌などさまざまな癌の新規治療に役立つと期待される。
本研究成果は、国際学術誌『Oncogene』のオンライン版に掲載された。