胆管癌
1:胆管について
胆管は肝臓で生成された胆汁を胆嚢そして十二指腸へ運ぶ管です。肝臓の中から木の枝が幹に向かって集まるように、徐々に合流して太くなっていき、肝臓の外で左右の胆管が合流して1本となり肝外胆管となります。
この肝外胆管のひとつは胆嚢管となって胆嚢へ繋がり、ひとつは膵管と繋がり総胆管となって十二指腸Vater乳頭部へ繋がります。
肝臓で生成された胆汁は一旦胆嚢内に貯留し、脂肪の摂取により十二指腸内に分泌されます。
2:胆管癌について
胆管がんは胆管内膜の粘膜から発生する悪性腫瘍です。その発生した胆管の部位により、肝内胆管癌と肝外胆管癌に分けられます。
また取扱い規約では、肝内胆管癌は胆管細胞癌と呼ばれ、肝臓に発生した癌として肝細胞癌とともに原発性肝癌として取り扱われています。これらの胆管癌、胆嚢癌、乳頭部癌を合わせて胆道癌と呼びます。
胆管癌の発育は、浸潤性発育、胆管内発育、腫瘤形成性発育に分かれ、そのうち腫瘤形成性発育形式が最も多く認められます。
3:統計と発生要因
年間罹患数は、男性約11,300例および女性約11,300例で、それぞれがん罹患全体の2%および3%を占めます。そのうちの年間死亡数は男性約8,900人および女性約9,300人で、それぞれ癌死亡全体の4%および6%を占めます。
発生要因は明らかでありません。ただ、胆管癌は90%以上が結石のある部位に発生しているため、肝内結石との関連性が考えられています。
4:症状
①黄疸
癌により胆管内に狭窄が生じ胆汁が流れにくくなると、胆汁が逆流して血管内に入り血液中ビリルビン濃度が高くなり、皮膚や眼球強膜部分が黄色くなります。これを閉塞性黄疸といいます。また、血液中のビリルビン濃度が高くなると、尿中に排泄され、尿が茶色のように濃くなります。これを黄疸尿といいます。
②白色便
胆汁が腸内に排出されなくなると、深緑色の胆汁が便中に混ざらないために便の色が白っぽいクリーム色になります。
③掻痒巻
胆汁中の胆汁酸という物質がビリルビンと一緒に血管内へ流出するために皮膚などのかゆみが生じます。
④その他
腹痛、体重減少、発熱、食欲不振、全身倦怠(けんたい)感などがでることがあります。
5:治療
腫瘍部分を外科的に切除したり、抗癌剤治療も行われます。黄疸による肝不全を予防するために胆道ドレナージやステント留置が行われますこともあります。