膀胱癌
1:膀胱について
膀胱は骨盤内にある袋状の臓器で、腎臓から尿管を経由して排出された尿を一時的に貯留し、貯留された尿を排出する機能を有します。
2:膀胱癌について
膀胱癌は、ほとんどが尿路上皮が癌化することによって発生する尿路上皮癌という種類ですが、稀に扁平上皮癌や腺癌もあります。上皮から筋層を貫き壁外へ浸潤した場合は周囲のリンパ節へ転移し、遠隔転移も起こします。膀胱癌が転移しやすい臓器としては、肺、骨、肝臓などがあります。
3:統計と発生要因
膀胱癌の年間発生数は約20,000人で、男性に多い傾向にあり、60歳頃から増加して、高齢になるほど多くなります。
主な発生要因は喫煙です。男性の50%以上、女性の約30%の膀胱癌は、喫煙により発生するとのデータがあります。また、職業曝露による危険物質としてはナフチルアミン、ベンジジン、アミノビフェニルがあります。
4:症状
主な症状は肉眼的血尿です。また、頻尿や排尿痛などの膀胱炎のような症状を来すこともあります。進行した場合、尿管口閉塞による尿閉が発生したために水腎症が起こり背部痛を感じることもあります。
5:治療
表在癌や上皮内癌に対しては内視鏡による経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)が行われます。上記以外の筋層に浸潤している癌に対しては主に膀胱全摘術および回腸導管による人口膀胱造設が行われます。ただし、遠隔転移を伴う場合は抗癌剤などが治療の選択肢となります。