口腔癌
1:口腔について
口腔は両頬部、上顎、下顎、舌、歯肉などにより構成され、主に食物を噛み砕き嚥下する機能や正しく発音する機能を担います。
舌は表面の粘膜と筋肉で構成され、前方約2/3の動かせる舌体と後方約1/3の舌根に分けられます。舌表面粘膜の味蕾という小さな器官により味を感じることができ、また嚥下機能や発音機能に関与します。
2:口腔癌について
口腔癌には頬部に発生する頬粘膜癌、上下顎に発生する硬口蓋癌、舌体に発生する舌癌、舌と歯肉の間に発生する口腔底癌、歯ぐきに発生する歯肉癌などがあります。これらの中でもっとも頻度の多いものは舌癌ですが、口腔癌全て合わせても全癌の1~2%しかありません。
なお、舌根の部分にできた癌は、中咽頭癌に分類されます。
3:統計と発生要因
舌癌の年間発生数は約4,200人で、男性に多い傾向があります。 舌癌を含む口腔癌の主な発生要因は、喫煙と飲酒です。口腔癌全体の80%は喫煙が原因と考えられています。飲酒だけでも口腔がんを発生する危険性が高まりますが、喫煙と飲酒の両方の習慣がある人ではより危険性が高まることがわかっています。
4:症状
初期のがんでは痛みや出血などはなく、硬いしこりが触れる場合が多いです。舌癌の好発部位は舌の両脇部分で、尖端や真中の部分に発生することは少ないです。進行すると潰瘍を形成して痛みや出血が出現することがあります。さらに頚部リンパ節に転移し、顎や頸のリンパ節の腫脹をきたすことがあります。
5:治療
外科療法が中心となり、放射線療法、抗癌剤による化学療法、痛みや他の苦痛に対する緩和治療などがあります。