血液中に含まれるマイクロRNA(microRNA)を癌のバイオマーカーとして、13種類の癌を同時診断する検査システムの開発が進み、実用化が近づいている。「1滴の血液や尿で、がんが分かる時代へ」と題したメディアセミナーが開催され、microRNAによるリキッドバイオプシーの精度や実用化に向けた動きなどについての発表があった。
日本人に多い13種類の癌(胃癌、大腸癌、食道癌、膵臓癌、肝癌、胆道癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膀胱癌、神経膠腫、肉腫)をターゲットとして、対照群を含めて約5万3,000検体が解析された。その結果、たとえば乳癌の場合、5つのmicroRNAの組み合わせによって感度97%/特異度92%で診断できることが確認された。特異度92%というのは8%が偽陽性ということになるが、一滴の血液から診断されるという非侵襲的であることも含め、早期のスクリーニングツールとしては非常に有力だと思われる。その他、卵巣癌(感度99%/特異度100%)、膵癌(98%/94%)、大腸癌(99%/89%)、膀胱癌(97%/99%)3)、前立腺癌(96%/93%)など、いずれもmicroRNAが癌のバイオマーカーとしての高い感度を有することが確認されている。