乳癌や卵巣癌は基本的には遺伝する癌種ではないが、BRCA1および BRCA2の2種類の遺伝子のうちいずれかに生まれつき病的バリアントを有する場合は、親から子に発癌のリスクがおよそ10%遺伝する。

そのため、遺伝性乳癌・卵巣癌の原因として知られる癌抑制遺伝子BRCA2の機能解析することが必要であった。

今回、従来の、癌遺伝子に対する革新的なハイスループット機能解析手法(mixed-all-nominated-mutants-in-one method: MANO法)を構築し、EGFRやERBB2といった癌遺伝子の意義不明バリアントの機能解析を発展させた、MANO-BRCA法(MANO-B法)を確立し、186種類の意義不明バリアントを含むこれまでで最大規模の244種類のバリアントについて機能解析を行った結果、新たに37種類の病的バリアントが同定された。

さらに本手法の臨床応用例として、遺伝子検査で新たに発見されたバリアントの病的意義を迅速に判定し、報告するシステムを構築した。

本システムは、適切な治療方針が定まらず不安を抱えていた意義不明バリアント保持者に正しい情報を伝えることができることから、リスク低減手術やPARP阻害薬投与の必要性を判断する可能性が期待される。

本研究成果は、英国科学雑誌「Nature Communications」に掲載された。