日本医科大学大学院医学研究科とハイデルベルグ大学外科学病院およびウィーン大学との共同研究により、膵がんの前がん病変の一つである膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)のうち、悪性所見があるが間質への浸潤のない高度異形(high grade dysplasia) IPMN (IPMN HGD) (非浸潤がん)を高い感度で検出する血液バイオマーカー(アポリポプロテインA2 アイソフォーム: apoA2-i)が発見された。

これにより、IPMN HGD を健常者から発見する感度は70%で、現在臨床で利用されている膵がんバイオマーカーのCA19-9の感度15%に比較して非常に高いことが明らかになった。

このため、IPMN HGDは病理学的に悪性所見を持つ非浸潤がん(ステージ0相当)と考えられ、非浸潤状態で手術が可能となれば、難治性である膵がんの予後の向上が期待できる。

本研究成果は、UICC (The Union for International Cancer Control :国際対がん連合)のofficial journal 『International Journal of Cancer』のオンライン速報版で公開された。