癌の主要な特質は転移能を有していることであり、癌死亡原因のほとんどが、原発巣ではなく転移巣における増大によるものである。

癌の遠隔転移の最も多く起きる臓器は肺であるため、肺転移を抑制することができれば予後は大幅に改善すると期待できる。

近年、癌症例の血中内にはきわめて早期から多数のがん細胞が循環していることが明らかになってきたが、簡単に転移巣が形成されない理由は、肺におけるナチュラルキラー(NK)細胞が癌細胞を効率よく殺傷しているためである。

今回、高感度発光イメージングと二光子顕微鏡により、NK細胞が、24時間以内に99%の肺に循環した癌細胞を排除することを可視化した。

また、排除されなかった1%の癌細胞は24時間の間にNK細胞から逃れる手段を確立することも明らかにした。

本研究成果は、国際学術誌「eLife」に掲載された。